目次
はじめに
第1章 紹介したいアメリカの建築家フランク・ロイド・ライト(空間の魔術師)
第2章 最初の依頼主は直木賞作家・藤本義一先生
第3章 つくることは見ること、体験すること、感動すること
はじめに
No.1 ――若い人のモノづくり離れ――
建築を志す青年たちが少なくなってきている。世間で言う理工系離れといえばそれまでだが、衣・食・住のひとつである建築としての住は、これらの3つの分野でも私たちの 日常生活を守る器として、いつの時代においても必要不可欠な文化であり続けている。この理工系離れは、建築の世界に身を置く者にとって、また後継者を育てていかなければならない者にとっては大変憂慮すべきことだと感じている。ましてや日本の労働人口の10人に一人は建築・土木、材料メーカーなど建設系の仕事に従事しているというのに。その原因はいったい何なのかといつも疑問に思っている。
テレビでは、グルメばやり。どのチャンネルでも時間帯をずらしながら料理番組が組まれている。衣はどうかというと、大都市近郊ではアウトレットができブランドのファッションで溢れ、土日は多くの人たちで混雑している。にも拘わらず、住だけがまるで他人事のように若い人たちの意識から離れていっているように感じているのは自分だけかなと思う。私はある専門学校で34年の間、設計担当の教員として学生とともに生きてきた。そして、その傍ら30年間、自分の事務所で設計活動を続けてきたし、今でも継続している。実際の建築の現場から教育の現場を見、また教育の現場から建築の現場を眺め、実務と教育の接点を常に考えてきたつもりである。しかし、残念ながら住に関しては若い人たちの興味からは、以前に比べるととても遠い存在になってしまったのだろうか。建物の機能性やデザインを考え、空間をイメージし、自分が考えたものが土地の上に徐々に構築していく様は辛いこと、しんどいことなど多々あるが、完成したときの喜びは何物にも代え難いほどの充実感と至福の喜びが、工事現場の竣工した空間一杯に広がる。クライアントも職人たちも設計者も、誰もが竣工の喜びを分かち合い、酒を本当に美味いと感じるひと時であり、この道を志して良かったと思うひと時でもある。
この一連の文章は私が建築の世界に入ったきっかけ、あるいはこの世界で何を見、どう感じ、どんな作品をつくってきたのかをオープンにし、若い人たちが建築やモノづくりの世界に興味を抱いてくれるきっかけになればと思い、ブログとして気ままに書き続けてみたい。暇つぶしに読んでくれたら幸いである。何回続くかな?自分も楽しみながらトライしてみよう。 その前に長く、くどいかも知れないが人生の先輩から一言。
つづきはブログ記事にて投稿していきます。(1週間に1記事程度)