はじめに No.3 ――進路変更!モノづくり、建築へ――
寝床の中でまどろみながら自分の進路について考えた。真剣に考えた。このまま、土木の仕事を続けていくのかどうか・・・!?甲子園目指して頑張った好きだった野球、肩を壊したために諦めざるを得なかった無念さ、後悔など等。自分は何をやってもダメではないかという不安と、何をやったらよいのか分からないという迷いと、早く決めなければという焦りが一度に自分に迫ってくる。なかなかそう簡単に見えてくるようなものではない。進路を考えるということは、自分が生きてきた道筋を辿るということ。自分自身をどんどん振り返っていくと5歳から10歳ぐらいまでの頃を思い出した。
あの頃の私たち家族は貧しかった。中流という言葉は無く、世の中金持ちなんて一握り、まだまだ日本全体が貧しかった。なにせ勉強する為の机なんぞ無くて普通。宿題は卓袱台と決まっていた。ならば自分でつくろう。工事現場の廃材などを貰ってきて利用しながら、犬小屋を作り、勉強用の座卓などを夢中になって夜遅くまで作ったことを覚えている。その座卓は中学1年生の頃まで大事に使っていたと記憶している。そのころからものづくりが好きだったのだろう。私が建築を目指した動機、きっかけになったのはここまで遡る。当然、大学は中退を思い切った。寝床の中で・・・。