建築を志す前に読む本(ウェブバージョン)/はじめに(No.5)

はじめに No.5 

――流行やメディアに惑わされず、自分のやりたいことをやろう――

 建築を造ること、モノを造ることを私は子供の頃からの夢として、生業としまた生きがいとして生きてきた。人生かけて取り組んできて本当に良かったと思っている。大きな建物や公共建築は地域のランドマークにさえなっていく。自分が設計した保育園を子どもたちが、グループホームを年老いた人たちが住み使ってくれる。自分がイメージしたように。これをデザインというのではないだろうか。廊下に取り付けたデザインした手すりを握ってくれた時にどう感じてくれるのだろうか?想像するだけでも、私にとってこんな嬉しいことはない。この仕事が楽しいのである。しかしここ数年、高校生を対象にした進路説明会などで「職業理解」というテーマで建築の分野説明の講演会によく出かける。建築の仕事紹介みたいなものである。残念ながら参加者はここ45年急激に減少している。

 その理由は何か!よく言われるのは18歳人口が減っているから。確かに右肩下がりだ。もし、この減少の割合と建築の希望者のそれが一致しているならば仕方がない。つまり、自然現象である。ソーシャルニーズが減少すれば、当然その仕事の従事者も減少する。そうならば諦めもつく。私が危惧するのは他にもうひとつの理由があるように思うからである。それは・・・・。

 元来、世の中の就業人口の構成というものは、需要と供給のバランスで自然に成り立っていくものである。産業構造の変容は時代の変化とともに変わっていく。その変わりようというのは、或る時は工学技術系が、或る時はファッション系が、IT系が、或る時はメディア系といった具合に時代の要求の中で移り変わりながら脚光を浴びたりしてきた。その変わり様を若い人たちは敏感に感じ取っていきながら自分の進路決めていく。若い人の感覚、感受性は非常に敏感だ。五感の敏感さと自分のものにしてしまうスピードの速さは20歳代前後の大きな特徴といえる。

 しかしながら、それはまたメディアの影響を受けやすいという皮肉な一面も持ち合わせている。つまり、流され易い。ファッション、ヘアスタイル、ネイルアート、そして調理やスポーツインストラクター等。今の高校生、これらのほうが建築より希望者が多い。

 それでいいのである。それがその人の中から湧き上がってきたものであれば。また続けているうちに正夢になっていくこともある。

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